易と道教
- synchronicity64
- 5月13日
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道教は福永光司先生の説では四重構造になっています。殷王朝を源流とする巫術※(ふじゅつ・鬼道)の上に時代の経過と共に葬祭祭典の儒教が乗り、その上にインドからシルクロードを経由してきた仏教が乗り、最後に総合的、且つ集大成する形で道教(道家の老荘思想(無為自然)、易、陰陽、五行、神仙思想、不老不死信仰、医学、占星術などを含む)が乗る複合宗教です。思想・神学として完成を見せる隋唐五代の時期(A.D.6~10)が黄金期になります。
第一段階の「鬼道〔巫術〕」の教え(殷王朝から)、第二段階の「神道」の教え(秦漢時代・B.C.3~A.D.2)、第三段階の「真道」の教え(魏晋時代・A.D.3~4)、第四段階の「聖道」の教え(斉梁時代・A.D.5~6)と変遷してきました。基準経典は1019年北宋の真宗皇帝時代に皇帝の勅撰で完成した『雲笈七籤』(うんきゅうしちせん)百二十巻になります。
道教の究極的目的は病を退け災いを避けて不老長生することです。この世の利益的な宗教と言えます。
※巫術:原始宗教の一つで、神が人にのり移り、予言、吉凶の判断、悪霊の退散を行う術。

道教は哲学、方術、医術、倫理の各側面で構成されています。
哲学的側面:中国古代の上帝信仰を『易経』の哲学や陰陽五行思想と『老子』『荘子』の無為自然「道」の哲学で理論化した側面。
方術的側面:神仙説、卜筮、巫祝(ふしゅく・シャーマン)、讖緯(しんい)などで未来を予言し、災いを除き福を招く術の側面。
医術的側面:不老長生の方法、服餌(ふくじ・仙薬の服用で不死不老長生)、調息(呼吸
を調える)、導引(筋肉運動・太極拳)などの医術的な側面
倫理的側面:儒教や仏教の影響を受けているが、この世の利益が目的なので功利主義的である。
※参考書籍:『日本の道教遺跡を歩く』福永光司・千田稔・高橋徹 著 朝日新聞出版 発行 2003年 /『道教と日本文化』神道国際学会 編集・発行 たちばな出版 発売 2005年 基調講演 『日本の神社仏閣に見られる道教の要素』河野訓 著
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