「粒粒辛苦」・身近な名言・名句①
- Yokeian Koga
- 5月9日
- 読了時間: 2分
更新日:5月12日
昔、私が勤めていた会社の組織長が「粒粒辛苦(りゅうりゅうしんく)」という題で抱負を述べられました。その的確な表現法に感服し、今でも記憶に残っています。その出典を掘り下げてみたいと思います。
古賀富治男 記
憫 農
農を憫(あわれ)む
李 紳 作 中国唐代
(り しん・ 七七二~八四六)
鋤禾日当午
汗滴禾下土
誰知盤中餐
粒粒皆辛苦
鋤禾日当午
禾(か)を鋤(す)いて 日は午(ご)に当たり
禾:穀物の総称・稲
午:正午・真昼
汗滴禾下土
汗は滴(したた)る 禾下(かか)の土
誰知盤中餐
誰か知る 盤中(ばんちゅう)の餐(さん)
盤:鉢類・食器
餐=:ごはん
粒粒皆辛苦
粒粒 皆辛苦せしを
粒粒:一粒一粒
昼になって太陽が頭の上にきても、農夫は田畑を耕し続けており、汗が稲の下の
土にポタポタと滴っている。食器に盛られたご飯の一粒一粒が、農夫の辛苦の賜物
であることを誰か知っているであろうか。
「ご飯の一粒一粒は農民の汗の結晶であるから、有難くいただかねばならぬ」こ れが、この句本来の意味です。
作者の李紳は、字は公垂、今の江蘇省無錫市(こうそしょうむしゃくし)の人で、元和元年(八〇六)進士(高級官吏登用試験に合格。のち八四二年に同中書門下平章事(宰相格の官職)に任ぜられます。作者が若いとき、この詩を作ってある人に見せたところ、その人は一読して「この詩の作者はきっと大政治家になるであろう」と云ったが、果たしてそうなった。とのエピソードが残っています(唐詩紀事)。人民の労苦を思いやることが、為政者の第一要件であることをうかがわせる話です。


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